goodbye,youth

増子央人

2021.02.06

スタジオがなくなったので昼前に起きて洗濯を済まし喫茶店へ向かった。サンドイッチのきゅうりをわざわざ抜いてもらったのに一口食べるとおれの嫌いな辛子マヨネーズの味がした。我慢して全部食べたが、ナポリタンにすればよかったと少し後悔した。

最近は、松屋のカレーにハマったり、九龍ジェネリックロマンスにハマって単行本を買ったり、ゴムボールでのリフティングが上手くなったり、2年前から触っている近所の犬に本気で噛まれて病院に通ったり、新曲のレコーディングが終わったり、奈良でライブをしたりした。

自分がやりたいことは何かわかってきたが、無気力なまま流れる日々に身を任せて、ぷかぷかと浮かびながら好きな音楽を聴いたりしている。誰かの音楽だけが鳴り続けている。ジミサムウェア、ジーンドーソン、グレイブ、ハーリーティアドロップ、レイニー、チャイニーズフットボール…その他大勢、好きなアーティストの音楽を聴きながら外を歩く。この前のスタジオからの帰り道に夜空を見上げてウルフムーンの明るさに驚いたときはナインインチネイルズが機械的な音で四つ打ちを刻んでいた。誰かのバンド脱退やアーティストの自殺のツイートが目に入るたび、リアルタイムで好きなアーティストの音楽が更新されていくことの尊さを身に染みて感じる。

先月の山焼きは雨の中火をつけたが燃え広がらずに終わったらしい。雨が降る中、打ち上げ花火だけが数発上がっていた。今まで山焼きにはなんの興味もなかったが、雨の中上がった山焼き開始の花火の音を聞いて、アパートの踊り場で若草山に燃え広がる火を期待した。火が広がる気配がなかったので部屋に戻った。来年は燃え広がってほしいとそのときは思ったが、来年になってコロナが今より収束していたらまた以前までのようにどうでもよくなっている気もする。そうなっていてほしい。