goodbye,youth

増子央人

2023.11.16

ツアーがひと段落して久しぶりに奈良に帰ってきた。スタジオでドラムを叩こうと思ったが起きてだらだらしていたら夕方になってしまい、結局スタジオの予約も取らず、腹が減ったので家を出た。ツアーで外に出ている間に奈良もすっかり寒くなっていて、いつものベンチに座っていると体が冷えていくのがわかった。

散々飲んで食べて踊ってドラム叩いて、こんな生活がいつまで続けられるのか自分でもわからないが、凄い速さで過ぎていくこの無茶苦茶な日々を友だちに話して笑ってもらえるならそれでいいやと思ったりもする。

Age Factoryのライブ中たまに、このあと体が動かなくなってもいいと思うときがある。なるべく力まず、柔らかいフォームで力を抜いて、勿論そういうことを考えながら練習したりするが、そういう気持ちがすべて吹き飛んで、感情的になって体を動かしてしまうときがある。それは狙ってやることではないので、勿論そうじゃないときもある。楽しくないのに笑えないし、嫌なことがあればそれも表情に出る。名古屋で昨日の景色を見れたことはきっと忘れないと思う。

昨日のライブの動画をベンチに座って缶ビールを飲みながら観ていた。ライブが終わって、最後の曲がスピーカーから流れる中、帰る人たち、写真や動画を撮る人たち、踊る人たち、誰もいないステージを見つめる人たち、自由なフロアにミラーボールの光が回って、とても美しかった。これからあの曲を聴くときっとこのツアーの日々のことを想い出すと思う。

1時間ぐらいずっと、木の上に白鷺が止まっている。もうほとんど日が落ちてしまったが、まだ山と空の境目がわかる。あの鳥が飛び立つまでここにいようと、勝手に根比べをしている気持ちになっていたが、風邪をひきそうだから帰ることにする。