goodbye,youth

増子央人

2021.11.14

11月24日に発売されるアルバムの特典に、Age Factoryのドキュメンタリー映像を見れるQRコードが記載されたストリーミングカードが付いてくる。その映像がこの前完成したので、スタジオ終わりに部屋で1人で観た。30分ほどの映像で、ディレクションは央大がしてくれた。Pure Blueを製作し出した頃から最近までの期間のAge Factoryについてを、メンバーの口から話している。その間にあったレコーディングやライブにも央大についてきてもらい、カメラを回してもらって、そのときの感情を撮ってもらった。映像を観終えてから、しばらくベランダでぼーっとしていた。このコロナ禍の間に、バンド内で色んなことが起こった。なんでこの3人でバンドをしているのか、最近1人で考える機会が多かったが、その答えは映像の中で自分たちが話していた。ドキュメンタリー映像はアルバム購入特典なので、アルバムを買った人しか観れない。おれも最近はずっとサブスクで音楽を聴いているし、わざわざ好きなアルバムを買ったりはしないし、アルバムを買ってくれ!とは正直あまり思わないし、どんな形であれ聴いてくれればそれでいいけど、Age Factoryを好きな人、Pure Blueが気になっている人、ロックバンドが好きな人には、あの映像を観てほしい。おれはたぶんこの先も何回か、バンドや人生の節目にあの映像を見返すと思う。

ライブやプロモーションの関係で11月の頭から10日間ほど東京にいた。東京の朝8時、満員電車が鬱陶しく、人身事故で電車は遅れるし渋谷乗り換えは間違えるし、イヤホンからサニーデイ・サービスのTOKYO SUNSETが流れていたがあまり良い気分にはならなかった。えーすけはドキュメンタリー映像の中で、風が背中を押してくれる、みたいなことを話していた。東京はビル風が多い。初めてビル風の存在を知ったとき、なんだこの鬱陶しい風はと思ったし、奈良にはそもそもビル群がないのでビル風なんて勿論ないし、冷たく一方的に吹き付ける無機質な風があまり好きではなかった。でも最近は、東京は人が多いから、沢山の人の背中を押すためにあの風は吹いてるんか、なるほど、と奈良で酒を飲んでいるときに適当な思考を巡らせていた。そう考えるとビル風も悪くないなあ、と酔っ払いの脳味噌は簡単に納得した。解釈次第で嫌いなものは好きなものになる。そういうことができるだけ増えればいいなと思う。