goodbye,youth

増子央人

2018.07.26

レコーディング2日目が終わり、コンビニで塩焼きそばを買って、部屋に帰ってきた。電子レンジがないから買った塩焼きそばはコンビニのレンジで温めてもらった。部屋についたらすぐにシャワーを浴びないと何もする気にならないので、先にシャワーを浴びた。髪の毛を乾かしてから机の上に置いていた塩焼きそばのふたを開けると真っ赤だった紅生姜は熱で薄い桃色になっていた。食べ切ってから、冷蔵庫に入っていた缶ビールを開けた。なんとなく、再来月に出るフェスのタイムテーブルをiPhoneで見た。おれたちの出演日がONE OK ROCKと同じ日だったことを知った。大学に通っていたときに付き合っていた彼女がワンオクの大ファンだったことを思い出して、何年かぶりに、連絡をしてみた。寝る直前だったらしく、1分も経たないうちに返信が来た。今度ワンオクと同じ日に同じフェスに出ることになったで、と送ると、彼女は凄く驚いて、喜んでくれた。おれも少し嬉しくなった。おめでとう、の次に、うち結婚するねん、の文字が見えた。あれから時間は、それだけ経っていたらしい。今は彼女に何の感情もないのに、何故か、急に寂しくなり、戻ることのないあの日々のことを今更思い出していた。机の上の缶ビールを飲み干して、新しい缶ビールをもう一本、冷蔵庫から取り出した。