goodbye,youth

増子央人

2018.10.04

先月26歳になった。生活は相変わらず、苦い奈良の空気を吸い込んではコンビニの缶ビールで日常を誤魔化している。体に悪そうなものばかりを摂取して、季節が乱暴に変わっていくのを1Kの狭い部屋から他人事のように傍観していた。好きなあの邦画のように、特に何も変化はなく、ただ確実にフィルムが進んでいく。人は人に依存してはいけないということを、音楽や、本や、人から、なんとなく悟った。日々の生活のすべては自分で選択ができる。SNSに生きる若者の、例えば、おれはあいつフォローをしてるのにあいつはおれをフォローしていない、そういうような、宇宙から見たミジンコほどの小さな小さな問題を重要視してしまうような人は、おれが将来書く小説には登場しない。空想の世界なら尚、そういった人たちは美しさとはかけ離れている。

机の上にはピーナッツチョコレート、水の入ったコップ、読みかけの小説、ブックオフで買ったDVD、セブイレのおしぼり、少しの不安と未来への期待。少しずつ寒くなる奈良は美しい。