goodbye,youth

増子央人

2017.12.02

気がつけばもう一年の最後の月になっていた。ワンマンライブの前日も普段と変わらずバイト、夜中家に帰るとばあちゃんからの手紙が届いていた。もう90近いばあちゃんはとても真面目で、面白くて、一途で、可愛くて、強くて、人に優しい。一昨年に向こうへ行ったじいちゃんのことを今もずっと想い続けている。直接聞いたわけじゃないけどなんとなくわかる。真面目に真面目に、強く誠実に生きてきたばあちゃんの言葉はいつも綺麗に心に入ってくる。ばあちゃんの言葉はいつも正しい。ばあちゃんとは二年前に会ったのが最後、もうしばらく会っていない。そのときも凄く久しぶりに会ったんだ。帰るとき、ばあちゃんはどこにそんな力があるんだろうというぐらいの強い力でおれの手を握りしめて、また来てくれなと言った。目には涙が浮かんでいた。手紙の最後に書いていたさよならの四文字がなんだか嫌な気持ちになった。来年、必ず会いに行こうと思った。どんな生き方をしても、おれはばあちゃんの誇りでいたい。SUICAにお金を千円だけチャージして、いつもの電車に乗って、いつものライブハウスへ向かう。