goodbye,youth

増子央人

2019.10.31

家を出て少し散歩していると、近くに八百屋さんとパーキングが隣り合わせになっている場所があり、そこのパーキングの受付に白い芝犬が繋がれていた。恐らくそこで飼われている犬だと思う。こんな場所に外に出ている犬がいるなんて知らなかったので凄く嬉しかった。触りたかったが白芝はそこのお客さんらしき人たち3人ぐらいに囲まれていたので、渋々横の道を素通りした。しばらく経ってからもう一度そこを通ったがその人たちはまだ犬の周りにいて受付のおばさんと世間話をしていた。その間を通り抜けて白芝を触る勇気まではなかったので、また渋々素通りした。でも良い場所を見つけた。昼間にあそこに行けば白芝に触っていいんだ。明日にでもまた行ってみようと思った。明日ももし晴れていれば。

東京についての良い曲を見つけたので、上京している妹にLINEでその曲を教えた。返事はないがたぶん妹も好きだと思う。おれはやっぱり優しい唄が好きだと思った。

ハギビスが奈良を通過した2日後、福島の婆ちゃんの家に台風被害はなかったのか心配になり父に連絡した。家は大丈夫だったみたいだが、近くの山で土砂崩れが多発し、矢祭町の久慈川にかかる橋が流されて20軒ほどの集落が孤立している、と父から返信が来た。もう二週間ほど前の話なので今どうなっているのかわからないが、千葉の浸水被害、首里城の火災といい、今日本は様々な場所で痛手を負っているのにもかかわらず一部の行き過ぎたアホたちのせいで渋谷のハロウィン規制に国は1億円もの税金をかけなければいけないなんて、馬鹿げている。ハロウィンを精一杯楽しむ人たちがアホだということでは決してない、常識から外れて他人のことを考えずに街を汚し自分の価値を下げている人たちのことをアホという。明日までハロウィンキャンペーンやからオプションのコスプレ無料やねん、ハロウィンほんまに好きやわ、と言ってデリヘルを呼んでいた友だちの方がよっぽど健全にハロウィンを楽しんでいる。そんなことを考えながらおれはまた腹が減っていないのにコンビニでチョコクロワッサンを買ってしまった。500mlの水も1本買って機材車に乗り込み、アメ村へ向かっている。1年で最もアメ村に近寄りたくない日にアメ村でライブがある。あまり気分は乗らないが、bachoと火影で2マンができることはとても嬉しく思う。そういえば先日の鶴岡高専祭のときも、転換中にbachoの曲が流れていた。西の山に少しずつ夕陽が落ちて、空と山の境目が段々と変色してきた。絵具の何色と何色を混ぜたらあの色になるんだろう。まあいいや。今日も良い日になればいいなと思う。