goodbye,youth

増子央人

2020.01.01

年末、妹が東京から奈良に帰って来ていたので、数年ぶりに実家で年越しをした。年末年始にバイトをしなかったのも数年ぶりだった。年越しなのにチャンネル争いをしなかったので、お互い大人になったんだなと思った。二階の自分の部屋は綺麗に掃除されていて、色んなものがなくなって整理されていたが、学生時代に集めていた月刊バスケットボールの雑誌やバスケの教則本、部活終わりに書いていたバスケノート、高校生の頃にコピーしていた3B LAB.☆Sの楽譜、繰り返し読んだマンガ、小遣いで買い貯めたCD、昔のアルバム、教科書やノートなんかはそのまんま本棚や引き出しの中や押し入れの中に残されていた。部屋の片隅には、中学生の頃にお年玉の貯金で買った電子ドラムが埃をかぶったままポツンと置かれていた。もう10年以上そこにあるのに、えらく場違いに見えた。電子ドラムが家に届いた日に父が組み立ててくれて、その日から部活終わり家に帰ってきて毎日叩いていた。人に聞いてもらいたくて、父や母にヘッドホンをつけさせて叩いたりした。2人ともいつも褒めてくれた。久しぶりに電源をつけて叩いてみたら、ハイハットのパッドの接続が悪くて音が鳴らなくなっていた。それでもまだ叩くことはできた。押し入れの中を見ると、保育園の頃のアルバムが出てきた。昔に見たことがあった気はしたが、大人になってちゃんと見るのは初めてだった。そこには写真と一緒に、当時の母からの手紙が貼り付けられていた。ページをめくるうちに、涙が出そうになった自分に気がついて少し驚いた。やはり母という存在は偉大だった。持って帰ろうか悩んだが、この部屋に置いておくことにした。想い出を持って帰っても、あまり良いことはない。ここに残して、たまに見るぐらいがちょうどいい。

初夢は一人暮らしをしている部屋に石油ストーブが来る夢だった。部屋が狭いのでどこに置いても何かが熱くなりすぎて、置く場所をずっと悩んでいた。何の暗示もなさそうな夢だったが、石油ストーブの温かさが昔から好きなので、目が覚めても嫌な気持ちにはならなかった。おそらく久しぶりに見た実家の石油ストーブがあまりにも温かくて、そんな夢を見たんだろう。

 

 

 

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