goodbye,youth

増子央人

2018.05.05

朝、カプセルホテルの中で鳴るアラームを慌てて止めた。すぐに起きて顔を洗って歯を磨いて髭を剃った。昨日の晩、風呂場に来たなおてぃが「さっきビバラのリストバンドつけてる人おった…オーラルのTシャツの人らも結構おった…」とまるで麻薬密売犯が警察を見つけて怯えているときのような顔で言っていた。そのせいで朝の洗面台でおれの右隣で歯を磨いていたあのジャージの青年もおれの左隣で髪の毛を乾かしていたあの青年ももしかしてビバラのお客さんか?と少し警戒してしまったがまあなんでもいいやと思い平常運転で朝の準備をしていた。

もうすぐ会場に着く。ケータリングを楽しみにしていたのに、1週間ほど前からずっと腹を下している。神様どうして今このタイミングでおれの腹を弱くしたのですか。あのとき嘘をついたからですか。そんなの、みんなついてるじゃないですか。あいつもあいつも、嘘ばっかり言ってるじゃないですか。わざわざ自分の価値を下げるようなこと、みんな自分から言わないって、この前深夜見たドラマで言ってましたよ。おかしいな。それならあいつもあいつも、みんな毎日腹を下してるってことにならなきゃ、釣り合わないけどな。まあいいや。人は人ですよね。すみません。受け入れます。まあケータリングはめちゃめちゃ食べますけど。