goodbye,youth

増子央人

2017.08.16

福島にいる父から手紙が届いた。内容はRIVER聞いたぞということと、PV80回は見たということと、おれがバンドで10月福島に行くことをネットで知った父さんが婆ちゃんに「央人10月にライブしに来るらしいぞ」と伝えたら、「んじゃ、行ぐが」と真顔で言ってきて戸惑いました、という内容だった。婆ちゃん来たら爆音で死んじゃうんじゃないかと心配になった。これで焼肉でも食えって、封筒の中に一万円が入っていた。24にもなって父から小遣いを貰うなんて恥ずかしいが、生活的に結構有り難かった。すぐに財布に入れた。手紙とは別に、冊子が入っていた。今年83歳になる婆ちゃんは若かった頃、新聞にコラムを半年ほど掲載していたらしい。そのときのコラムを父がまとめて、おれに送ってきた。婆ちゃんがそんなことしていたのは初めて知った。その文章を読んでみると、婆ちゃんが必死に駆け抜けた昭和の風景が頭の中に広がった。文字から人柄がにじみ出ていた。おそらく40歳ぐらいの頃に書いていたもので、1人の農家の主婦が一生懸命がむしゃらに生きる姿が書かれていた。凄く好きな文章だった。おれが文章が好きなのは婆ちゃんからきていたのかなと1人勝手に納得していた。文字からはその人の生きていた景色やその人の性格が滲み出る。文章を読んでおれがまだ産まれてもない頃の婆ちゃんの生活を見れた気がして少し嬉しかった。婆ちゃんのことが更に好きになった。おれもこれからも適当に書いていこうと思った。