goodbye,youth

増子央人

2017.06.23

朝起きて、タレントの小林麻央さんが亡くなったことをニュースで知った。たまにブログを読んでいた。30代前半、子供を産んですぐガンになるなんて、もしおれならとても卑屈になり人生に絶望して、頭の中で悲劇のヒロインになってしまうと思う。それなのに、そんな状況にもかかわらずただただ前向きで明るい彼女のブログは衝撃的だった。最近は読んでいなかった。亡くなったことを聞いてすぐにブログへアクセスした。意識がなくなる前日までブログを更新していた。最後の記事も、いつも通り、些細な日常の幸せを感じる明るい記事だった。こんな人がいるのかと思うほど、明るく前向きな人で、出会ったこともないおれにはまったく関係のない人なのに、朝のニュースはとても悲しかった。おれはあのブログを読んでいるとき、最後にはガンは治って、家族とずっと幸せに暮らすんだろうなと勝手に思い込んでいた。ハッピーエンドの映画を見ているつもりだった。あまりの唐突な死の知らせに、悲しくなり、でも夜になるとその気持ちは少し薄れて、晩御飯のことを考えていた。