goodbye,youth

増子央人

2019.12.24

空気が乾燥していた。目覚ましなしで起きたはいいもののなかなかベッドから出ることができなかった。30分ほど経ってようやく布団をめくる決心がつき、勢いよくベッドから出た。勢いに任せないと冬の朝なんて何もできない。顔を洗って寝癖を直し歯を磨いて外に出る準備をし、街へ出た。歩きながら何を食べようか考えていたが、考えることが面倒になりすき家へ行くことにした。いつも大体こうなる。雨の日も風の日も二日酔いで死にそうな日も、牛丼はいつだっておれたちの側に居てくれる。一年中感謝している。すき家につくとカウンターの二席ほどしか空いていなかった。忙しない空気感の中、店員さんの1人がとても愛想良かった。恐らく高校生か大学生ぐらいの年齢で、素敵な笑顔で一生懸命に接客していた。高圧的な態度のオヤジ客にも誠実な対応の好青年店員さん。いつもの高菜明太マヨ牛丼がいつもより美味しく感じた。おれは単純なので、そんなことだけで素敵なクリスマスイブだと思った。ありがとうすき家のバイトさん。「いやクリスマスイブにバイトしてたっていい!今日も誰かのおかげで僕たちは楽しく平和に生活できている。当たり前の日常に感謝しよう。時を戻そう。」今年のM-1で知って大好きになったぺこぱの松陰寺太勇さんならきっとこんな感じのことを言うだろう。そんなことを考えながら電車に乗っていると降りるはずの駅をスルーしてしまった。時を戻して欲しい。そう願って実際に時が戻ったよって言う人?時間は戻らない。今を生きよう。松陰寺太勇さんならきっとそう言っていただろう。この妄想はちょっと楽しい。お笑いは素晴らしいカルチャー。反対方向の電車に乗って一駅分引き返した。今日は市役所に年金と国民健康保険のことを聞きに行った。市役所と田舎のヤンキーは意外と優しい。聖なる夜もいつもと変わらない。生活は続いていく。サンタさん、サッポロビールを1年分ください。