goodbye,youth

増子央人

2017.08.13

家を出て1分、近所の犬のクッキーは今日も暑そうに芝生の上で寝転んでいる。心の中で声をかけて原付を走らせる。人と話をすることはやっぱり大事なことだ。昨日の居酒屋で思った。選択を迷ったとき、しんどいかしんどくないかはできるだけ考えたくない。楽しいか楽しくないかだけでいい。ライト兄弟は誰も飛んだことがなかったのに空を飛んだ。強い気持ちと行動力と少しの賢さがあればできないことはないんじゃないかって昔の偉人たちを見ると思う。空なんて飛べちゃったんだから人はもうなんだってできるよなきっと。ライト兄弟エジソンニュートンも、ずっと子どもだったんだ。友だちになって色んな話を聞いてみたかった。楽しい方へ、ワクワクする方へ、それだけ目指して歩きたい。

 

 

 

2017.08.06

東京に滞在しているといつも食生活が乱れる。コンビニで気休めの野菜ジュースを買う。そしてラーメンやチャーハンばかり食べる。大体いつもそんな感じ。一昨日の東京でのライブは見たことのない景色だった。色んな人に、今までのライブの中で一番だったと言われた。物販が見たことないほど売れた。今日の昼間のライブでもまた、今までステージから見ていた客席の様子とはまったく別物の景色だった。何かが変わった。初めて味わう感覚だった。機材車も変わって大きくなった。これでどんな機材でも載せることができる。昔のことを考えると、快適な後部座席は嘘みたいだった。何も成し遂げていないこの現状、バンドしてる限り満足することは一生ないと思う。それでも少しの変化に、周りの反応に、嬉しくて一喜一憂する、悔しくて拳を握り締める。休みの日に詰め込むバイト、包丁を握る手には何年も前からなくならないマメ、皮は破れた数だけ強くなる。

 

 

 

 

 

2017.08.02

蝉の声が大きくなった。入道雲も増えた気がする。夜クーラーをつけないと寝れなくなった。知らない間に8月になっていた。クーラーをつけたまま寝ているせいで朝起きると少し体が重たい。この前ミニアルバムを発売した。少しずつ確かに、広がっていることを実感する。どこまでも突き抜けて突き抜けて欲しい。誰みたいになりたいですか?なんて質問するやつはセンスがない。若手の中じゃ群を抜いてる、なんて言われても少しも嬉しくない。その時点でそいつの中ではおれらは若手の中にしかいないんだ。そんな場所で勝負してるんじゃない。明日はミニアルバムのレコ発東京編。四つ打ち、シティーポップじゃ足りない、もうみんなも気付いてるだろ。あれじゃ足りないんだ。古いんじゃない、明日が時代の最先端だ。機械的に挙げた手にはなんの感情も乗っていない、ポケットの中握りしめた拳は時代を変える。明日は本当に楽しみ。

 

 

 

2017.07.18

連日のライブがひと段落した。奈良へ帰る車内はいつも通り会話はなく、各々が各々の過ごし方をしている。険悪な空気ではない。居心地は割といい。窓から見える工場夜景はとても綺麗で、今日もあの光の数だけ誰かが働いていると思うと気が引き締まる気もするし、どうでもいいなとも思う。あの光は幻想的で生活的で、とても眩しい。東京タワーを初めて近くまで見にいったとき、あまりの大きさに圧倒された。333mの話ではない。あれを建てるためにどれだけの人の本気があったのか、この光にどれだけの人が想いを馳せたのか、おれには想像もできなかった。ただその大きさを感じることはできた。東京タワーの光はとても特別だった。奈良に帰り少し休んで、また4日後には東京へ行く。機材と夢を乗せたバンドワゴンは走り続ける。ヘッドライトは前しか照らせない。

 

 

 

 

2017.07.08

翔太が持ってくるコピーの候補曲はいつもRADWIMPSだけだった。屈託の無い笑顔でこの曲やりたいんやけど!といつも提案してきた。ラッドの曲はドラムが難しく、出来ないことが悔しくて完コピできるまで練習した。朝練前、翔太が貸してくれたラッドのライブDVDをごはん食べながら見ていた。蛍をコピーしたとき、翔太がスタジオで「増子のドラムはなんかキラキラしてるなぁ。なんかようわからんけどキラキラしてるわ。」とまた屈託の無い笑顔で言ってくれた。ドラムがキラキラしてるなんて表現は初めて聞いたしあまりピンと来なかったけど、とても良い気分になったのは覚えてる。ある日教室に入ってきた翔太が興奮しながら「さっきびっくりするぐらい綺麗な一本糞出てんけど!めっちゃ長いの!!やばない!?めちゃおもろない!?」と言ってずっと爆笑してたときはおれはこいつと笑いのツボが合うことは一生ないんだろうなと思った。2017年7月8日京都大作戦で初めてRADWIMPSと同じ日にフェスに出演した。ライブを生で見るのも初めてだった。裏のケータリングスペースで洋次郎さんに話しかけた。緊張で何を話ししたかあまり覚えていない。この日は昔のことをよく思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

2017.07.03

暑さで目が覚めた。汗ばんだTシャツに少しイラっとして無意識のまま扇風機をつけた。そのまま二度寝した。また暑さで目が覚めた。外から蝉の鳴き声が聞こえてくる。昨日遠くの空に入道雲を見た。最近は夜ですらあまり涼しくない。自転車をこぐと決まって汗だくになる。おれが通っていた中学校にはプールがあって、夏になると体育は水泳になった。クラスの可愛いグループの女子たちはほぼ毎回生理だと言ってプールに入らなかった。当時おれが好きだった女の子が、クロールで息継ぎをする瞬間の顔があまりにも不細工でショックを受けたのを覚えてる。プールのあとの授業はほとんど寝ていた。あのときの教室の匂いが好きだった。遠くに見える真っ白な入道雲は青い空を突き抜けた。隣の家から風鈴の音が聞こえる。夏めいた空気は少し鬱陶しい。

 

 

2017.06.28

少し歩くと、ビルの中にローソンがあったのでおにぎりとLチキを買ってイートインスペースでそれらを食べた。仙台の夜は少し涼しい。半袖じゃ寒いくらいだ。自分の人生はとことん自己中になっていい。従うにも意志は持っていい。昔のバイト先のおれの大好きな上司は、部下の陰口を部下の前で絶対に言わなかった。酒の席では他人の不平不満ではなく、未来の話しかしなかった。従うんじゃなく、この人のために働きたいって初めて思った。人前でキレること、イライラすること、それらはすべてそいつの器のデカさだ。器が小さいやつはよくイライラしている。その人がイライラしている様はほとんど見たことがなかった。