goodbye,youth

増子央人

2022.09.19

 木曜日に乗った大和西大寺駅行き各駅停車の車窓から見える田んぼの稲にはいつの間にか小麦色の芽が付いていた。町の色や音や匂いが少しずつ変わってきて、永遠に続くんじゃないかと思っていた今年の夏にもちゃんと終わりが来て、町に余白ができた。秋は毎年こんな感じだったと思い出した。

今月末には夏に始まったツアーの追加公演があり、その日を持って2年前に出来なかったツアーが終わる。時計の針が止まっていたわけではないし、ハイネケンは温くなるどころか何杯飲み干したかわからないほど時間は進んだ。Age Factoryで閃光ライオットに出ようとした19歳のあの日から気がつけば10年経ち、もう少しで20代が終わろうとしている。

今日は20代最後のライブの予定が台風の影響で中止になった。奈良は未だに雨すら降っていない。昨日の夕方中止が決まってから後輩と朝まで飲んでいた。今日はドラムを叩きたかったなと思いながら1日の大半をベッドの上で過ごした。夕方に起きてご飯を食べ、去年クリアしたプレステ3の真三国無双6を惰性でもう1回した。2回目なので大して面白くなかった。久しぶりにレコードを回してみた。盤を変えるのが面倒だったのでセットされていたYO LA TENGOのアルバムを回した。確かこのレコードは最後の曲だけが大好きだったからFLAKE RECORDSで買ったもので、買ってしばらくしてからはいつもB面から再生していた。何度聞いても最後の曲以外は全然好きじゃなかった。

昨日、なおてぃがAFJBのアルバムのミックスマスタリングを完成ラインまで到達させた。JUBEEは30歳の誕生日だった。縁か、とえーすけがLINEで送っていた。大きな節目のときにはいつも、こういうことが起きる。今朝、居酒屋を出て6時頃、家までの道をアルバムの曲を聴きながら歩いていたらもう少し聞きたくなって家の下で立ち止まって何曲か聞いていた。この気持ちは手を振るを出した頃から何も変わっていなかった。おれらが1番カッコいいわ。酔っ払いは朝焼けの中小躍りをして、尿意に負けて部屋に帰った。