goodbye,youth

増子央人

2022.07.11

休みの日、昼前に起きてAbemaでだらだらとABCお笑いグランプリを見ながら外に出る準備をして家を出た。近所の地蔵にお祈りしながら話しかけているおばさんを横目に歩いた。工事現場のおじさんに道を聞くおじさんの背中すれすれを通り抜けて喫茶店へ向かった。先週の火曜日、よく考えたら選挙当日は投票に行けないことに気が付き慌てて期日前投票に行った。流れてくる当選ニュースを見ても誰がどういう施策を掲げている人なのかよくわからなかった。もうすぐ30歳になるというのに、もう少し調べてから選挙に行くべきだったと後悔した。

安倍さんが撃たれた日、おれらは東京から来ていたJUBEEといっしょにいつも通りなおてぃの家で曲作りをしていた。夜はツインテールでパーティーをして死ぬほど酒を飲んだ。嫌な気持ちはあったがやっぱり生活は何も変わらず川のように流れていった。先輩が死んだときも同じことを思った。気持ちだけがいつもと違うだけだった。時間も生活も、自分の意志と関係なく流れていくものは残酷だと思った。

初めて行った姫路BETAは漫画に出てきそうな昔ながらのライブハウスで、凄く好きになった。高速を降りてから走った姫路の町の風景は奈良に似ていた。bachoのライブに酷く感動した。みゅーごさんのギターの音が出なくなったとき、演奏しながらきんやさんがたかさんに話しかけて、みゅーごさんの音がもう一度鳴るまで3人で同じフレーズを何周もしていた。2分ぐらい待っていた気がする。みゅーごさんのギターが復活して、そのすぐあとにたかさんがフィルを叩いて、全員で次の展開に入った。おれは酷く感動した。バンドで鳴らし続けてさえいれば、誰でもまた戻ってくることができるんだと思って、涙が出そうになった。

一昨年の夏は酷く退屈でベランダで向日葵を育てたりしていた。1人で暮らしている限りはもうやらない気がする。今年の夏はツアーを回れているし、色んなイベントに出れるし、レコーディングもしている。隣の部屋の外国人はまた何語か分からない言葉を永遠に喋っている。壁が薄すぎる。