goodbye,youth

増子央人

2021.11.23

アルバム店着日、いつも通りの朝、機材車に乗り込んで生駒のスタジオへ向かった。昨日から気持ちが落ち着かない。Pure Blueがやっと世に出る。一昨日のラジオ収録で、番組MCのばんちゃんが、私の見えてる青はみんなの見えてる青と違うんじゃないかってたまに思うんです、と話していた。メンバー3人が思う青もきっと違って、でも共有部分は間違いなくあって、3つの円が混ざり合う場所、真ん中の青は1つ1つの青よりも濃くなる。それがバンドの面白さだと思う。ツアー先で朝まで海で遊んだ日、喧嘩して仲直りした先輩たちのその日のライブを見た後に歩いた街の匂い、完成したアルバムを初めて聴く帰り道、鳴り止まない拍手の音、もうバンドを終わらせてもいいのかもとえーすけが言った日のスタジオの空気、全部の青が繋がってPure Blueになった。おれらの記憶が音になってみんなの記憶に干渉する。

帰り道、暗い公園の街灯の下、1人でバレーボールを空中に上げてトスの練習をしている人を見た。先日、バイト先で子どもが、見て、夕日が綺麗、と山に沈んでいく燃えるような赤を指差して笑っていた。沢山の色が混ざると、どうしても色は汚く、鮮やかではなくなっていく。それでも青が一番輝いている人たちを沢山知っている。おれもおれが好きな人たちのように、沢山の色が混ざり合っても、一番綺麗な青を持ち続けていたい。