goodbye,youth

増子央人

2020.12.10

もみじは火が消えたように散り、風に揺れるススキは白い海のように波打っていた。見て!サンタいる!とランドセルを背負った小学生たちが指さす方向には壁をよじ登るサンタのイルミネーション。光っていないのに目立っていた。

 3日前の休日、昼間に金麦を飲みながらTHROAT RECORDSへ寄った。五味さんはコーヒーを出してくれようとしたが、おれが金麦を持っているのを見て出すのをやめた。「こんなに長い間ライブもなくなると、バンドやってる意味もわからんくなる人だっていますよね。」とおれが言うと、「バンドやることに意味なんてもともとないけどな。」と五味さんが言った。まあそうすよね、と返したけど、あれからたまにその言葉を思い出す。ただ思い出すだけで、特に何かを考えるわけではないけど。頭の中をその言葉がくらげのようにふわふわと漂っている。そのあといつも行く古着屋へ行きフリースを買った。

 一昨日、奈良ネバーランドのスタッフの人たちと飲んだ。「エイジが東京ドームでやる日がきたら、前乗りして酒飲んで、ライブ中もずっと飲んどくわ。だってそんな最高なアテないやろ。」と向井さんがビールを飲みながら言った。その日はとにかく笑った。今年は、奈良ネバーランドがあってよかったと何度も思った。

 来週から奈良で新曲のレコーディングが始まる。