goodbye,youth

増子央人

2020.10.22

最近の夜はパーカーを着ていても寒くなってきたので自分が聴く用の冬のプレイリストを作っていると、夏の夜用のプレイリストに入れていた曲とも何曲か重複して、そうか歌詞がわからなければ想像次第でその曲は夏の曲にも冬の曲にもなるのか、歌詞がわからないってのもいいね〜なんて思いながらアサヒの缶ビールをプシュッと開けて飲んだりしていた。セブンイレブンで買った柿ピーを一晩で食べ切れなかったので翌日の夜にまた食べようと思い袋を開けたまま机の上に置いていたら翌日の夜にはしなしなになっていた。なぜか柿ピーはしなしなにならないと思っていた。ピーナツまでしなしなになっていて、おれの頭にははてなマークと泣き顔の絵文字がぽつぽつと浮かんだ。

コロナのせいでライブ活動ができなくなり、うろこ雲のように規則的で穏やかな日々を過ごしている。バイトから帰ってきてやるべきことを終え、お笑いの動画を見て1人でケタケタと笑い、隣の部屋のおじさんが怒って壁を叩いてきたりしないかと怯えながら、それでもお笑い芸人たちの面白さにおれはケタケタどころかゲラゲラと笑い、笑いについてのみを追求し、人を笑わせるお笑い芸人という職業はなんて尊いんだ、よし生まれ変わったら漫才師になろう!いや、コント師も素敵だ!いやでもやはり漫才だ!なんて浅はかなことを考えたりしている。もちろんこんな日々が毎日続いているわけではなく、サブスクに並ぶ聞いたことのないアルバムたちを聴き漁ってドラムがかっこいい曲を頭の中でコピーしたり、やろうと思っていたことが何もできなくて罪悪感とともにベッドに入って眠る日もある。こんなとこに金木犀あったんだ、とか、あれ絶対火星、とか、あの犬は何と何のミックスだ?とか、ライブしたいな、とか思っていると、コロナが流行り出してからもう8ヶ月近く経っていて、この生活にも慣れてきてしまった。バンドをしている友だちたちは、今どんな生活をしているんだろう、みんなこんな風に、どっちにも転んでしまいそうな場所に立っているんだろうかと気になったりするが、他人は他人だしな、なんでもいいや、聞くのも面倒くさいし、と部屋に帰って自分の世界に没入する。ベランダの向日葵のミイラ早く片付けないと。もうすぐ冬が来る。