goodbye,youth

増子央人

2020.02.07

2月2日に出演したcoldrainのフェスでは、ロックバンドの美しい瞬間を何度も見た。人と人との繋がりの温かさが目に見えた気がした。coldrainが機材トラブルでライブを始められなかった際にステージに上がって必死に繋ごうとしていた先輩たちの漫談を袖で見ながら笑っていたが、その背中はカッコよかった。隣で一緒に見ながら笑っていた10-FEETの浩一さんは、愛やなあ、と仏のような笑顔で何度も呟いていた。この日、楽屋に入るとMasatoさんからのAge Factoryへの手紙が机の上に置かれていた。とても嬉しい熱い言葉が綴られた最後に、THAKS!!と書かれていておれたちは笑ってしまった。一番英語の見た目の人が、THANKSの綴りを間違えている!一番英語の人が!関西人はこういうことを見逃さない。なおてぃは、もしかしたらおれたちの知らないこういう略語というか、スラング言葉のようなものがあるのかもしれない、と考えていたし、おれはもしかしたらこれは一番手のおれたちの緊張をほぐそうとわざと間違えてくれたのかもしれない、こういうボケなのかもしれない、とも思って打ち上げで本人に確認をしたがシンプルな間違いだった。でもこれのおかげで朝一の楽屋に笑いが起き、本当に緊張が少し緩和された。この日の打ち上げは朝まで続いた。coldrainのことが更に大好きになった一日だった。

翌日、鬼のような二日酔いの中、レコーディングのため山中湖へ向かった。メンバーもスタッフもエンジニアの方も全員スタジオに泊まり込みでレコーディングをしていたのだが、スタジオには風呂がなかったので、毎朝全員で近くの温泉へ行き、帰ってきてからレコーディングをするという流れが4日続いた。スタジオの周りには雪が積もっていて、奈良では見慣れない光景だった。ストーブが暖かかった。快晴の日が続き、車で温泉へ向かう途中、あまりにも綺麗な富士山に毎日驚いていた。3日目の富士山なんて、風が強かったせいで山頂の雪が空を舞って、まるで富士山から湯気が出ているように見えた。雲なんて一つもなかったから、あれはおそらく山頂の雪だった。真冬に湯気の立つ富士山。綺麗だった。レコーディングは順調で、数曲の歌録りまで終わった。Age Factoryの中で一番好きな曲がどんどん更新されていった。一度じゃない。完成が待ち遠しい。Age Factoryの音楽がちぐはぐな日々を繋いでいる。