goodbye,youth

増子央人

2019.09.30

N国党のなんとかっていう気持ちの悪い政治家わかる?この前、差別やいじめは神様が作った摂理、とか言ってたって。どう思う?渋谷駅で出口に迷い歩き疲れて柱にもたれかかっていたら近くの女子高生2人組がそんなことを話していた。どう思う?の先を盗み聞きする前にイヤホンをつけて最近お気に入りのgirl in redの新譜を再生した。とにかく人の多さに疲れていた。他人が他人に投げかけた質問の内容を頭の中で繰り返しながら井の頭線の乗り場まで歩いた。神様なんて存在しない。もし存在するのであればそれは各々の想像の中で産まれた姿で、神様とは人の心の中にある妄想に過ぎない。つまり差別やいじめは神様が作った摂理、というのは結局そいつの道徳観なのだ。差別もいじめも人が作ったのだ。そう考えなければ差別やいじめの全てを諦めることになる。その発言者は馬鹿か。なるほど。頭の中で自分なりに一通り考え終わったところで井の頭線の乗り場に着いた。この間に二回道を間違えた。やはり東京は嫌いだ。特に渋谷は大嫌いだ。人混みを見て、早く黄金の稲をつけた田んぼの芝生を見たいと思った。山と空の境目に位置する一等星がだんだん天に登っていくのを見て地球の自転を感じたい。そしてその一等星はオリオン座の一部だったのか!をやりたい。東京の空は明るくて狭い。そんなことはできない。それをするには目を瞑って脳みその中にプラネタリウムを出さなければいけない。電車に乗り下北沢の同い年の店長がやっている古着屋へ行き、少し話をした。今日はお客さんが平日の割には多いんですけど、明日から増税だからですかね〜、と店長が言っていた。しまった、奈良にいる間にビールを買い貯めておくべきだった、と後悔した。たかが2%、なんて今は到底思えない。そのあとその人におススメしてもらった喫茶店へ来てしばらく本を読み、眠くなったので店を出た。外はもう暗い。増税して、何か生活は変わるのだろうか。苦しくなる、という安直な想像以外の利点を感じることはできるのだろうか。増税分の使い道をネットで調べてみた。頭では理解できるが、明日飲む缶ビールが安ければ安いほどおれは嬉しい。