goodbye,youth

増子央人

2019.09.26

先週、山人音楽祭に初めて出た。群馬のG-FREAK FACTORYが主催する群馬のフェス。G-FREAK FACTORYのライブを見て、何度か涙がこぼれそうになった。打ち上げが終わりかけていたとき、茂木さんに質問した。僕は正直、そこまで奈良に愛着も執着もありません。どうして群馬でそこまでやろうと思うのですか?間髪入れずに茂木さんが答えた。群馬で産まれたからだよ。表面上の意味は理解できたが、恐らくおれが理解したのは氷の溶けたアイスコーヒーが水と分離して薄くなった上の層の方だけで、下の濃い部分のことはちゃんと理解できなかった。これから分かるようになるのだろうか。

奈良に帰ってきて久しぶりに会ったバイト先の後輩と飲みに行った。確実に変わってはいたがそいつの言葉は相変わらず真っ直ぐで純粋なままだった。2年前に癌で亡くなったそいつの父親の話になったとき、そいつの目から涙が溢れた。すぐに隠すように涙を拭いていたので、そのことには触れなかった。そのあとに奈良へ来ていたマネージャーと朝まで飲んだ。二人であんなに話したのは初めてかもしれない。バンドの話を沢山した。居酒屋で27歳を迎えた。

ガソリンを満タンにした機材車は北へ走る。高速道路の上空を夕陽に照らされた桃色の雲が意志もなくただ漂っている。やりたいこととか別に何もないわ、と言って部室でスーパーファミコンばかりしていた軽音楽部の先輩たちを思い出した。