goodbye,youth

増子央人

2019.09.15

泉大津の近くには、恐らく空港があったのだろう。ステージ袖から先輩たちのライブを見ている際、何度も空に飛行機が見えて、その景色があまりにも美しくて、涙が出そうになった。おれたちの出す音はあの青空を飛ぶ飛行機にはまだまだ届いていない。二万人を前にするステージに初めて立って、そのことを実感した。青空がいつもより広く遠く感じた。打ち上げ中盤で、拓也くんと2人で話をした。ドラムを褒めてくれて、おれがバンドの世界に飛び込んだときから見てくれていた人なので、特別に嬉しかった。色んな話をして、色んな話を聞いた。途中でMAHさんが暇なんだよ〜と言いながら日本酒の一升瓶を持って現れた。タイミング、持っていたもの、台詞、すべてが相まって、悪魔の翼が背中に見えた気がした。一升瓶を空けるため、その後に集まった人たちも合わせてみんなで飲んだ。拓也くんは子どものように無邪気に笑っていた。散々飲んで、朝4時半頃に機材車で奈良まで帰った。なおてぃが運転してくれた。部屋に着いて、窓から差し込む朝日をカーテンで遮り、その日見た景色、聴いた話を思い返しながら、アラームをかけずに寝た。