goodbye,youth

増子央人

2018.10.25

この前、TSUTAYAでDVDを借りて、映画を見た。犬の話だった。頭の中は、昔飼っていた源太郎のことでいっぱいになった。その映画は、犬は死んだ後に転生して、昔の記憶を持ったまま、また犬になるって話だった。そんな話、ないとはわかっているが、その話を信じ込むことで、またいつかゲンに会えるかもしれないと思いながら生きていけるなら、そんな考え方もありかなと思った。

なあゲン、またおれの話を聞いてほしい。もうお前に話したいことが沢山溜まってるんだ。お前が遠くに行ってから、色んなことがあったんだ。また会えたら、お前と出会ったあの公園に行って、あのときみたいに、おれはずっとお前に日々の話しをしたい。お前はあのときと同じように、まるでおれの話なんか聞いてないような顔で、この世界の輝きに目をキラキラさせて、外の景色を必死に目に焼き付けようとするだろう。お前は賢いから、きっと自分の人生が短いということをわかってたんだろう。だからあんなにも一生懸命走って、一生懸命食べて、一生懸命吠えて、一生懸命生きてたんだろう。真似しなきゃいけないなって、26歳になってからやっと気付いたよ。おれもお前みたいにがむしゃらに走り続けるから、その先で、秋の落ち葉の絨毯に乗って、待っていてほしい。