goodbye,youth

増子央人

2018.10.16

寒い朝、ベッドの中でアラームを10分後に掛け直して二度寝をした。10分後に鳴り響いたアラームをすぐに止めてベッドの外へ出た。すぐにレコードを回して、顔を洗った。昨日の酒がうっすら残っていた。三日前からカーテンレールに干しっぱなしになっているズボンが目に入ったが、畳むのが面倒だったのでそのままにしておいた。人はどこまでも孤独で、宇宙に浮かぶ小惑星のような、夜空に浮かぶ星のような、深海に沈む石のような、周りに似たものは確かに沢山あるが、確かに孤独な、そんな存在なんだと、最近はそんなことを考えていた。東京、そっちの空はどんなだろう。目を瞑って想像してみた。ホームレスたちの寝床を横目に、渋谷の雑踏を抜けて、ふと見上げた夜空には、星の光なんてなかった。コンビニのラーメンサラダで、健康な体を手に入れたつもりになっている。朝まで続いた長電話で、距離が近づいた気になっている。小説を読みきって、わかったつもりになっている。ツアーが始まる前、1Kで過ぎる何もない毎日は、冷たい秋空をより深くした。