goodbye,youth

増子央人

2018.09.19

巣鴨のカプセルホテルを早朝に出て、車で埼玉へ向かった。今日はMV撮影をする日。都会から田舎へ車は進んだ。相変わらず田んぼの稲はどの土地のものも美しい。金木犀の香りや、赤トンボ、心地良い風なんかが、パレットの上に赤色の絵の具を出して、ボードをどんどん染めていく。少しずつ黄色も入ってきて、淡い秋になっていく。過去の自慢話を口にすると、今の自分は小さくなる。陰口を言うと、綺麗なものが見えなくなっていく。不安を口にすると、意志は弱くなっていく。そんな気がする。この前、THROAT RECORDSに行ったとき、五味さんと、音楽の話ではなく生活の話をした。帰り道はなんだか酷く足が重く感じて、口からため息が漏れた。負けるなよ、と五味さんは言っていた。沈みかけの太陽が酷く眩しい。 MV撮影で汗だくになったTシャツが熱を冷ましていく。