goodbye,youth

増子央人

2018.08.24

野菜ジュースのオレンジがティッシュの白を染めた。最近野菜を食べていない。バイトから上がり、露出度の高い外国人観光客の胸を惰性で見ながら、家へ帰った。レコードが回る16時前、クーラーと扇風機をつけた。もう少しでスタジオへ向かう。一昨日の朝、夜中ずっと飲んでいたというそんなに喋ったことのない後輩が早朝に1人で家に来た。既に酔っているそいつと部屋で朝7時からビールを飲んだ。そいつは缶ビールを一本飲むと、気持ち悪いと言い出した。ベッドで寝させて、おれはビールを二本飲み、洗濯物を干し、ソファで少しだけ眠り、朝のバイトへ向かった。セックスはしなかった。

昨日の晩は台風が奈良を通過した。今朝バイト先へ向かうとき、道路のゴミ箱や自転車が倒れていた。どうでもよかったので、直さなかった。

この前、初めて母と二人で飲みに行った。店まで歩いている間、普段あまり母と話さないから、何を話そうかずっと考えていた。たぶん緊張していた。久しぶりに会った母は少し痩せていた。会ってみれば、ビールの手助けもあり、色んなことを話した。夢の話を少しした。おれが今まで出会ってきた素敵な人たちの話を沢山した。母は、キラキラした目で、ずっと話を聴いてくれた。そのときに気が付いた。そういえば大好きだったあの子も、こんな風におれの話をずっと聴いてくれていた。

レコードが回る。部屋の床には髪の毛が落ちている。TUTAYAで借りてきた映画をそろそろ返さないといけない。なんだか見る気にならない。