goodbye,youth

増子央人

2018.06.09

山形へ向かっている。機材車が北上するにつれて少しずつ外の空気が冷たくなってきた気がする。道が広い。雨は降っていないが空は薄い雲で白く濁っている。今日は山形のフェスに出る。完全DIY、地元の人たちの熱意がメールで伝わってきた。初めて出させてもらうが、とてもワクワクする。

そういえば3日ほど前、バイト先の後輩たちと朝まで酒を飲んだ。その中に、この前の奈良でのおれらのライブで、初めてライブハウスに来たやつがいた。そいつはその日からずっと、バンドを始めたいと言っているらしい。そいつは、増子さんがビール飲むんなら僕もずっとビール飲みます!増子さんのペースについていくんで!と、飲めもしないビールをおれのペースに合わせて飲もうとしていた。3杯飲んで酔っ払ったそいつは、増子さんたちはそのままやってください!他に寄せようとせずに突っ走ってる増子さんたちがかっこいいと思うんです!僕は!なんて普段絶対に言わないようなことを言っていた。周りのやつらは、おいプロに何を言うてんねん。と笑っていた。おれも一緒になって笑った。嬉しかった。ど素人のそいつの言葉は、なんのフィルターもなしで当たり前のようなことを大声で言うそいつの言葉は、とても純粋で正しかった。結局そいつは、4杯ほど生ビールを飲んで寝ていた。なんだか全部、嬉しかった。店を出ると、もうすっかり明るくなっていた。またなと言って、交差点で別れて、家に帰った。良い夜だった。

左手に荒れた海が見えてきた。どんどん田舎へ進んでいる気がする。今日の会場の酒田に近付いてきた。