goodbye,youth

増子央人

2018.06.02

外は日差しが強く人が多い。土曜の心斎橋は情報量が多すぎて歩くだけで疲れてしまった。コメダ珈琲に入り、本を読もうとしたが何故か3分と読んでいられず、気がつけば寝ていた。もうかれこれ5回はそんなことを繰り返している。今日はダメなんだと思い、開き直って机に突っ伏して寝ることにした。20分ほど寝て、また本を読んだ。やっぱり眠たくなった。そんなことをしている間に頼んでいたアイスティーは中の氷が溶けて薄くなってしまった。これを飲みほしたら腹を壊しそうな気がしたが勿体無いのでストローで全部飲んだ。テーブルの上には砂糖スティックが束になってコップに入れられていた。その真ん中に布でできた小さなバラの花が刺さっていた。それを見て、今年は母の日に母に何も渡していなかったことを思い出した。今更渡すのも何か大袈裟な気がしてそんな気になれない。テーブルの上に散らばっていたおしぼりとストローの袋とコップを一か所に小さくまとめた。クーラーとアイスティーで体が冷えてきたから、そろそろ外の日差しで体を温めたい。昨日見たピアノガールの新曲がとてもカッコよかったことを思い出した。秋くんはやっぱり天才だったんだ。とても不器用な天才だ。昔のピアノガールが大好きだったおれは、新しいメンバーになったピアノガールが昔の曲を演奏する姿を見ても、素直に好きだと思えない自分がいた。長友さんが、よなにーくんが、ひろきボーイが、一生懸命考えたフレーズを、自分たちなりにアレンジして演奏する今のメンバーを見て、それがより良いものならいいのだが、そうでもないし、あの人たちは何にもわかっていないと、腹が立ったりした。でも昨日、今のピアノガールが色々なことを経て出した新曲をyoutubeで聴いて、おれは嬉しくなった。昔のことばかり思い出していた自分が、酷くナンセンスなことをしていたんだと気付いた。夏の夜は基本的に気持ちがいいが、たまにどうしようもなく怠い夜がある。刹那さと怠さと寂しさと暑さとなんだか色んなものがぐちゃぐちゃになって、とても長く感じる夜がある。長いし暑苦しいのに、何故か終わってほしくないと思う夜が、たまにある。ピアノガールの新曲は、そんな夜に似ていた気がした。そろそろ1バンド目のスタートの時間だ。ライブハウスに戻る。