goodbye,youth

増子央人

2018.04.07

横浜のライブのあと、最終電車で東京の友だちの家まで行き、今日は幡ヶ谷でPELICAN FANCLUBのワンマンライブを見て来た。今日のライブでギターの車田くんが脱退するとのことだった。汗だくのえんどうを見ていると、車田くんが抜けてからのこれからの色々な不安を勝手に感じ、それらも全部背負った上で甲高い声で叫びながらギターをかき鳴らす姿が、とてもカッコよく見えて、感動した。お互いに別々の道を歩く車田くんとペリカンのメンバーたち、バンドなんてそんなことの繰り返しで、ずっと同じメンバーでやっている方が珍しい。けどやっぱり、泣いているお客さんたちを見ると、その前でしっかりライブをする4人を見ると、少し寂しくなった。おれは4人が大好きで、車田くんのギターが大好きなんだと思った。

なあバンドマン、おれたちの生活はとてもふわふわしていて、未来なんて何にも見えやしない。ただ毎日、夢を、悔しさを、音楽を燃料に、爆音に包まれながら生きている。それはきっと、もう少しズレたら崖から落ちてしまうぐらい、毎日ギリギリのところを歩いている。なあバンドマン、あの日ベロベロになって語り明かした恥ずかしいぐらい大きな夢の舞台は、まだまだ夢の舞台で、おれたちはやっぱり、そんな夢の舞台に立つことを夢見ている。そんときはお互い結婚して子どもがいるかもしれない。バイトなんか辞めて、音楽だけで家族を養っているのかもしれない。お互いの奥さんと子どもが客席にいて、打ち上げでは自分の子どもの写真を見せ合っているのかもしれない。なあバンドマン、新幹線の窓から見える4月の空はやっぱりまだ曇っていて、まるでおれたちの未来みたいだ。それでもおれたちは自分たちの音楽を誰よりも信じ、おれたちを信じてくれる人たちのことを信じ、応援してくれる大人の人たちのことを信じ、がむしゃらに駆け回ってきた日々のことを信じ、ただ信じることで、なんとか前に進んでいける。あの日の記憶なんて酒に呑まれてこれっぽっちもないけど、大切なことは覚えてる。なあバンドマン、今日はやっぱり、カッコよかった。今度会ったらまたあの日のように、朝まで飲もう。