goodbye,youth

増子央人

2018.02.16

この前、LONEのワンマンライブを見に行った。ライブを見て、あの日のことをどうしても書きたくなったので、ここに書くことにした。

まだ手を振るすら出していなかった3年前の夏、ピアノガールとAge Factoryで全国ツアーをした。バンドが全国ツアーに行くときは、CDリリースをしてそのリリースツアーという形で全国を回る、というのが多い。そのときはAge Factoryもピアノガールも何のCDも出していなかったが、ただ武者修行のように、全国19カ所でライブをした。その九州、中国地方編でLONEが合流して、3バンドで4日間ツアーを回った。あの日々のことはなんだか不思議で、思い出したら、もう3年前のことだから、やっぱり昨日のことのようには思い出されないけど、ずっとあのときの感覚は覚えてる。とても青臭い話。

山口でライブをしたおれたちは、その日はハコで打ち上げをした。いつものように馬鹿騒ぎして浴びるように酒を飲んだ。確かよなにーくんとたけやくんがその日誕生日で、(2人は誕生日が同じ日だった、たぶん)ケーキを誰かが買ってきて、よなにーくんだけ顔面ケーキをくらっていた気がする。腹が千切れるほど笑って、打ち上げが終わって、次の日もライブだったので車に乗って次の日の県に向かう予定だったが、誰かが海に行こう!と言い出して、夜中2時ぐらいに山口の海へ向かった。おれは海へ行くまで機材車で寝ていた。しばらくしてピアノガールのスタッフのあおいちゃんが起こしに来てくれた。寝ていたので気付かなかったがどうやらすでに海に着いてから30分ぐらい経っていたようだった。あおいちゃんに連れられて暗い砂浜を歩いていくと奥の暗闇から波の音と笑い声が聞こえてきた。みんな元気すぎひん?とおれは眠たかったのもあり少しテンションが低かった。だんだん暗闇に目が慣れてきた。浜辺で遊んでいるみんなをよく見ると、服を着ていなかった。完全な全裸だった。寝起きのおれにはきついテンションだった。そして永田くんが恥ずかしがってパンツだけ履いていたのが見えた。すると確か毛利くんと秋くんが全力で永田くんのパンツを脱がしに行った。そしておれ以外の全員が完全に全裸になった。もちろん女性陣は服を着ていた。おれは毛利くんと目が合った瞬間に状況を察知し、静かに1人で服を脱いで全裸になった。もう恥ずかしいものなんて何もない。そこからはもう無茶苦茶だった。全裸の男11人で騎馬戦をしたり人間ピラミッドを作ってみたり、もうクタクタになるまで遊んだ。一通り遊んだあと、みんなでコンビニで買ってきた手持ち花火をした。花火をしながら、どんな話をしたかはあまり覚えていない。バカな話ばかりしていたと思う。ちなみに花火をするときはさすがにもうみんな服を着ていた。毛利くんとひろきくんは、途中でまた海に入ってゲラゲラ笑いながら泳いでいた。元気やなーと思いながらおれは余った線香花火に火をつけてぼーっとしていた。ひろゆきくんと秋くんは、砂浜に繋がる階段で日が昇るまで話をしていた。あの2人は仲が良いんだ。みんなが疲れて車に戻ろうとしたときも、2人はまだ階段で話をしていた。何の話をしていたかは知らないけど、なんとなく、2人だけの方がいいんだろうなと思って、そこへは行かなかった。おれは秋くんと話をしているときのひろゆきくんと、ひろゆきくんと話をしているときの秋くんが好きだ。

なんだかあの日のこと自体が、大好きな2バンドとがむしゃらにライブをして色んな場所に行ったあの日々のこと自体が、おれにとっては線香花火のようで、キラキラと輝いていて、まだ火は落ちていないんだ。あの日からまだずっと、キラキラと輝いていて、きっといつか火が落ちてしまうときが来るんだろうけど、今はまだ、火花を散らして小さく華やかに燃えているんだ。

そのツアーが終わって奈良に帰ってから、えーすけが新しい曲を書いた。グリーングリーンという曲だ。おれはその曲がAge Factoryの中で一番好きだ。

僕達はそれを青春と呼んだ。