goodbye,youth

増子央人

2017.12.18

舐めていた。まさかこんなに寒いとは思っていなかった。移動中の車で本を一冊読み終えて、ふと外を見ると白い雪が沿道に汚く積もっていた。車の中は暖房のおかげで暖かい。外に出るのが怖い。なんならこのまま奈良へ帰りたい。読み切ろうと思っていた本を二冊読み切ったのでもうおれはこの遠征になんの悔いもない。今すぐ家に帰って湯を沸かし風呂に入り紫シャンプーとトリートメントもしっかりし歯医者に教えられた方法で歯を磨き低反発マットのあのベッドに飛び込んでアラームをセットせずに寝たい。そして寝ることに飽きたかのように起きティッシュをとって久しぶりに抜き、達成感に満ちて体に悪そうなカップ麺を食べたい。

誰もいない信号機は無視をする。向かい側に大人の人がいても車が来ていなければ無視をする。向かい側に1人小学生が信号を待っていれば、無視はできない。あの純粋で綺麗な生き物に、汚いものを見せてはいけないという気持ちになる。小さな子とお母さんが向かい側で信号を待っていても、同様に、おれも信号を無視できない。ここで無視をすると、あのお母さんと子どもとおれとの間に何か少し気まずさのようなものが一瞬生まれる。それが面倒くさいし、申し訳ない気持ちになるし、真っ当な教育を邪魔したくないという気持ちにもなる。

昨日のビールのせいかお腹が少し痛い。それだけで少しテンションが低い。腹が減っているのかどうかもわからない。