goodbye,youth

増子央人

2017.12.16

高松の商店街を1人ひたすら歩いた。海が近いせいか風が強く冷たかった。酔っ払いたちがたくさん歩いていた。自分が素面のときに酷く酔っている赤の他人を見ると、たまにイライラする。自分は酔うとあれ以上に酷いのにだ。自分のことは棚に上げて、酷いやつだ。

本の続きを読みたかった。サンマルクカフェを21:30に追い出され、ゆっくり本の読める場所を探して歩いた。酔っ払いたちを見ているとビールを飲みたくなり、居酒屋の個室で飲みながら読むのもありだなと思い、居酒屋を探すが、入り口付近で酷く酔って楽しそうにしている大学生たちやサラリーマンたちをかいくぐって1人で入っていくエネルギーがおれにはなかった。1人で居酒屋に入って本を読む男はかなりキモいなとも思ったが、高松の居酒屋の恐らく人生でもうその一度しか会わない店員にキモいと思われようがどうでもよく、おれの欲求を満たしたいという気持ちの方が羞恥心よりも強かった。(なぜこんなに外で本を読むことにこだわっているのかと言うと、このツアー中ホテルの部屋はもう5日ぐらい連続でツインなので、部屋にいると気が狂いそうだった。見た目では凄く冷静を装っていたが、1秒でも長く外に出ていたかった。彼女でもない限り誰が相手でもおれは恐らくそうなる。他人に自分のテリトリーを侵されることが酷くストレスに感じる。もって2日だ。だが経費削減のため文句は言えない。さすがにそんなに非常識人ではない。)個室のありそうな居酒屋を見つけて、勇気を出して入った。店員さんに1人です、と言うと、すみませんただいま準備出来るお席がありません、、と言われた。そりゃそうだ。土曜の晩の22時の忙しそうな居酒屋が一名様に個室を準備するわけがない。おれは諦めて喫茶店を探した。少し歩くと24時まで開いているサブウェイがあったのでそこに入った。貪るように本の続きを読んだ。渋々頼んだクリームチャウダーが意外と美味しかった。閉店時間までその店にいた。帰り道、また居酒屋に入ろうかと何度か思ったが、結局1人で居酒屋で飲むメリットをそのときは見出せず、冷たい風に震えながらホテルへ戻った。