goodbye,youth

増子央人

2017.09.17

長崎の街へ着くと、雨は弱くなっていた。台風とはすれ違いになっていたらしい。リハーサルが終わる頃には、外はすっかり晴れていた。雨上がりの長崎の街並はいつにも増してとても綺麗で魅力的に見えた。THE FOREVER YOUNGのライブで少し泣いた。あの人たちの音は、くにさんの言葉は、くにさんの目は、人の心ど真ん中に突き刺さってくる。"頑張れ"なんて何の捻りもないど直球の言葉をあんなに大きな声で叫ぶくにさんは、誰よりも真っ直ぐ、その言葉の強さを信じている。あの人は平気で、「今日はお前らのために歌うからよ」とかライブ前に言ってくる。ステージの上で「今日は友だちのためにこの歌歌う」って叫ぶ。何度もフロアで見ているおれに歌いながら拳をむけたり、目を合わせ笑顔を向けたりする。自分のために歌うと言っている人の方が、孤独でカッコよく見えるときがある。でもくにさんは馬鹿なぐらい真っ直ぐ、誰かのために歌っていると公言する。その真っ直ぐな青さに、おれはいつも背中を押される。心を動かされる。あんな人、おれは今まで出会ったことがなかった。くにさんは運転待機らしく打ち上げには出なかった。打ち上げ場所の居酒屋で出てきたピッチャーのビールが今まで飲んだ事ないぐらい不味くて、一杯も飲まないまま柚子サワーみたいな名前のお酒を頼んだが、慣れない味に酒はまったく進まなかった。ホテルに戻ってシャワーを浴び、ベッドの上iPhoneをいじっていると目が疲れてきたのでアラームをセットして寝た。