goodbye,youth

増子央人

2017.09.11

9月に入って気温が少し下がった。消えた火薬の匂いはいつの間にかしなくなったが蝉はまだ鳴いている。しっかりと米をつけた稲は今か今かと収穫の時を待っている。あれを見るたびいつも農家の人たちの姿が目に浮かぶ。あれは努力の結晶だ。あんなに綺麗なものがずっと家の近くに沢山あったのに今まで気付かなかった。24歳になったからかなと半ば適当に納得していた。

バイト先の高校生がバンド好きなんですと話しかけてきた。「マンウィズとかワンオクとか好きなんすよ」と言っていた。「やばTはもうちょい売れてもいいと思うんすよねぇ、なんかまだ売れてない感じしますよね」ともうここまできたら可愛い。そうなんかなぁと適当に相槌を打った。おれが高校生の頃、凛として時雨を聞いていることがカッコいいと思っていたし、ホルモンとかも全然聞けちゃいます、良さわかってます、みたいな感じだった。たぶんあいつもそんな感じだ。可愛いもんだ。

日付は変わり、バイトから帰ってきて明日から始まるツアーの準備をした。お守りもしっかり持った。お客さんが心配してこの前くれた錠剤タイプのウコンもカバンに入れた。スティック、服、その他諸々、必要なものをカバンに詰め込んだ。いつもワクワクする。いつまでもこの気持ちを忘れたくない。早く寝よう。