goodbye,youth

増子央人

2017.06.09

夜、大好きなバンドを見にライブハウスへ行った。帰り道、ライブハウスで買ったそのバンドの発売したばかりのCDを家から持ってきたCDウォークマンで再生した。CDを聴きながら自転車を漕いでいると、目の前を蛍が通った。今年初めて見た。感動して、SNSにあげようと思いiPhoneを準備していたら遠くへ飛んで行ってしまった。片手にiPhoneを握ったまま、それをただ見つめていた。もしかしたらあの場所に蛍がいるかもしれないと思い、家の近くの蛍がよく出る場所に行くと、やはりいた。初めはおれが来たことに気付いて光るのをやめてしまった。5分ほどその場でじっとしていると、じわりじわりと星のように色んな箇所で光りだした。あの瞬間、星空が地上に降りてきたようだった。ふと上を見ると満天の星空が広がっていた。蛍と星以外の光はない、まるで宇宙にいるようだった。人はなんで光るモノに感動するのだろう。その理由をずっと考えていたけどわからなかった。蛍は美しく儚い。それはまるでおれの大好きなバンドのようだった。必ず終わりはくる、わかっていながらも一生懸命光る。それだけが彼らの存在意義で、それがこの世の何よりも美しいとわかっているから。終わってしまうその瞬間まで、光り続ける。その生き様に、いつの時代も人々は魅了される。